あなたは、ついカッとなってしまった経験はないでしょうか?
最近では、コロナショックの中で「自粛」「自粛」と言われて、疑心暗鬼になり感情を暴走させている人も多く見かけるように思います。
また、おとなしくしている人も感情を押し込んでいるだけで不穏な雰囲気を感じる事も多いです。
きっといつかどこかで爆発するのではないかと思います。
このような感情の爆発は、いろんな犯罪とかトラブルなどで多く見かけます。
また、アンガーマネジメントというように、怒りの管理ができないと社会生活を送ることすら難しいと言われる場合もあります。
つまり、感情が暴走するのを、自分で自覚して制御するという技術は、今の社会人には当然持っているべき能力で、ないと、著しく不利になると思います。
今日は、EQ こころの知能指数ということで、こちらの書籍から感情の管理について、考えてみたいと思います。
私たちは怒りがあると、必ずと言っていいほど「原因」を重視します。
ただ、その原因が数十年昔だったら、どうしますか?
「数十年前に怒りの原因を、埋め込まれました……」と言っても、相手は納得するかどうかはわかりません。
ただ、実際には本人でも忘れ去ったような、赤ちゃんの頃の体験が、今の感情に大きく影響していることが多いのです。
こちらのイラストは、脳のイメージ図です。
ちょっと説明すると、私たちは目に見えたものや人を、「視床」という場所で認識して、それが「視覚皮質」で色々と検討します。
つまり、「どうしよう」「どう反応しよう」などと作戦をするのです。
そのあと、扁桃核にその作戦が送られて、実際にどういう感情を反応するか、行動するかを表出していきます。
でも、「視床」にもう一つ点線の矢印があるように、何か本人にとって印象的なことが目に入ると、「視覚皮質」に行かずに直接、扁桃核に情報が送られて突発的な反応をしてしまいます。
これが感情の暴走とか、感情の爆発、パニック状態などと言われるものです。
多くの強迫的な症状などは、このように視床から扁桃核に直接向かっているので、思考が入ってない状態です。
だから「ついカッとして」というような言葉が、後から出てくるのです。
これは、「ついカッとして」というように、あまり正確ではないのです。
この扁桃核には、幼い頃からの感情が引き出しのようになって、入ってます。
しかもこんな感じで、あまり綺麗に整頓してないので、現実に起きていることと扁桃核から出てくる感情が、合ってないことも多いのです。
だから、「ついカッとして」👉後から後悔するのです。
特に、幼い頃にトラウマになるような、恐ろしい経験や寂しい思いをしてきた人は、この扁桃核の感情が激しいので、虐待を受けたり無視をされ続けた人は、トラブルや事件を起こす確率も高くなってしまうのです。
また、このような教育とか情動教育は、日本ではほとんど行われておらず、やっていても教える側の解釈によって、かなり方向性が違ってきています。
だから、このような症状に苦しむ子供の耳には、自分で調べない限りは、このような事実が伝わってこないのだと思います。
そして、「これは自分ではどうしようもできない性格だから」「生まれつきだ」と、放置してしまうのだと思います。
でも、EQの著者のダニエル・ゴールマンは、このような気質は変えられると言い切ります。
なぜなら、先ほどの脳の説明からもわかるように、脳の中での誤作動である可能性が高いからです。
これが、解明できずに「あの人は怒りっぽい」とか「危険だ」となっているからです。
情動教育は、すごく大事です。
特に、親などが全く情動の発達がない人も、多いはずです。
でも、今のところはそれに気づく人も、それを教育する人材も、満足できるものではないということです。
これは、今後のテーマになりますが、自分で情動教育をするなら、このパターンに気づいて変えていけば良いだけなので、時間はかかっても無理なことではないはずです。
最後に、情動教育とはどんなことをするのか、また、情動が発達した人とはどんな人なのかを、箇条書きにしてますので、確認してみてください。
詳しくは、EQをご覧いただくと、すごく丁寧に説明してあります。
これは、EQが高い人の特徴ですが、採用試験の採点項目にもなりそうです。
情動の自己認識
- 自分の感情を認識し名称を与えることができる。
- 感情の原因をよく理解できる。
- 感情と行動の違いを認識できる。
情動の管理
- 欲求の挫折を受け入れ、怒りをコントロールできる。
- 口論、殴り合い、授業妨害が少なくなる。
- 怒りを腕力に訴えることなく適切に表現できる。
- 停学や退学処分が減る。
- 攻撃的・自滅的行動が減る。
- 自分自身や学校や家庭を肯定的に受け止める。
- ストレスを適切に処理できる。
- 寂しさや社会的不安感が減る。
情動の建設的活用
- 責任感が向上する。
- 眼前の目標に集中できる。
- 衝動が減り、自制心が働く。
- 学力テストの成績が上がる。
共感ー情動の読み取り
- 他人の立場に立って見ることができる。
- 他人の感情を敏感に受け止め共鳴できる。
- 他人の話をよく聞ける。
人間関係の処理
- 人間関係を分析し理解できる。
- 紛争を解決し意見の相違をまとめられる。
- 人間関係のトラブルを解決できる。
- 自分の意見をはっきりと効果的に主張できる。
- 他人に好かれ、社交性がある。友達と仲良くできる。
- 友達に人気がある。
- 思いやりがあり思慮深い。
- 社会に対して肯定的でグループの和を乱さない。
- 他人と共有し、協力し、助け合える。
- 他人との接し方が民主的。
ただ、間違えたくないのは、情動の管理は「ただ我慢すること」ではないことです。
我慢は自分の嫌いなことを受け入れて、それを行動化したりします。
この歪みはいつか情動の爆発という形で、最悪の結果を生み出すと思ってます。
そのためにも、自分は今怒っているのか、もしくは、それを押さえつけているのか、コントロールできているのか、などを感情の表出の前にワンステップ入れて見ると良いと思います。