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2021年9月1日水曜日

自己愛マザーからの傷の回復 5ステップ

 自己愛マザーとは自己愛傾向の強い女性が親になったということ


今回は毒になる母親という書籍から、回復の5つのステップのところをお伝えします。



この表紙のイラスト……まさしく「自己愛マザー」という感じ。

女王様とか、女優などの「私は特別」感のある人です。

日本でいうとぶりっ子だったり、永遠の乙女とかかな?

詳しくは動画で説明してます。


このような自己愛マザーの元では、当然ですが愛をもらえることはなく、常に世話をしたり気遣ったりするのが「子どもの役目」になってしまいます。



家族が常に自己愛マザーの周りをぐるぐると回っている感じです。

ここにはこの変なシステムを家族の秘密としておくという「暗黙のルール」があり、メンバーはそれに従いながら、緊張感のある家庭で長い期間過ごすことになります。

この辺は、動画で説明してます。

傷を癒すには、その傷の存在を認めないと始まりません。

よく「幸せだった」「良い母親だった」という人は、本当にそうであった場合と、「そうであってほしい」と今でも思っている。の二つに分かれます。

後者が、「理想化」です。

これにこだわっている間は、傷を認めないということです。

どっちにしても、自分はどこにいるのかを知ることは重要です。

これを知らないと、誰かの意見にムキになってしまったりします。

これこそが、「生きづらさ」の原因になってしまいます。

つまり……「自分の母親が自己愛人間であり、自分がその母親に傷つけられた」という真実を言葉にして、受け入れることが最初のステップです。

そうして、受け入れるだけで、癒しが始まるのです。


ここでは、簡単に、ステップだけお伝えします。

自己愛マザーの子どもの回復 5ステップ



1.母親の限界を受け入れ、自分が望む母親を持てなかったことを全力で悲しむ


自己愛の人は1歳児とか、2歳児、3歳児などと、専門家も表現されています。

このくらいの子どもは、見ているだけで可愛いいものですが、まだ他の人とかペットなどに対する愛情というのは、発達していない場合が多いです(たまにいますが)。

でも、それで良いのです。子どもなのですから自己中心で。

つまり、自己愛マザーの精神年齢が1〜3歳ならば、それくらいが限界なのです。

「可愛い、可愛い」とは言われたいけど、誰かを見て「可愛い」とはまだ思えない……。

このような人が、労働力を必要とした時代に生まれ、そして国策で「産めや、育てや」に逆らわずに(子どもが苦手であっただろうに)従順に、もしくは幸せを願って子どもを作ったということです。

そして、その事実を受け止めて、できる限り泣いたりして感情を外に出すようにしてください。

ある程度、感情が外に出たらラクになって、思考が働くようになってきます。

そうしたら、母親の限界について少し考えてみてください。

もし、1〜3歳の自己愛人間に、高いレベルの期待をしていたら、それが満たされるはずはなく、あなたが辛いはずです。

と、ここで小タイトルをみてください。

「自分の望む母親」と書いてます。ここであなたが理想とする母親像を、振り返ってみてください。

「優しい眼差し」でしょうか?

「攻めずに受け入れてくれる態度」でしょうか?

そして、現実の自己愛マザーと対比してみてください。

あまりの違いにショックかもしれません。でも、それが目的なのです。

多くのカウンセラーなどは、「許せ」「前を向け」と言います。

これは、その人たちも傷を癒せてないから、人の傷にも向き合えないジレンマに陥っているのです。

そもそも、自分を癒せていない人が、支援者になろうとするのは「とても危険なこと」だということに気づいてない人という事実だけで、私たちより重症とも言えるのです。

このような人に頼ると、いっときは蜜のような癒しを感じても、それがすぐに支配となって、親と同じような立場になってしまいます。

「治らないのは、あなたの責任」というようなことを、平気で言いだすでしょう。

そして、何度も傷ついた子どもたちは、傷を抱えたまま蓋をしてしまいます。




2.母親から心理的に分離し、ネガティブなメッセージをポジティブに再変換する


動画でも言いましたが、自己愛マザーは、子どもを「呑み込む」か「もういらない」と「無視する」かのどちらかです。

これは、子どもが大好きなぬいぐるみを扱うのと似てます。

母親から心理的に分離するとは、「呑み込まれた」状態から分離することです。

つまり、自己愛マザーにとって、あなたは「今は」お気に入りなのかもしれません。

ただ、精神年齢は1〜3歳ですから、いつ気が変わってあなたを放り投げてしまうかわかりません。

このような人に、自分の存在を、そして人生を預けるなど、危険だと知ることです。

マレー・ボーウェンによると、成人が呑み込まれた状態から個体化するには、このようなプロセスが必要だと言います。

  1. 家族の力学に感情的に反応しなくなる
  2. 家族の力学をより客観的な目で観察できる
  3. 思い込みやイメージ、歪曲(わいきょく)、家族内の三角関係」に気づくようになる



つまり、不全状態の家族システムに呑み込まれるのではなく、「おかしい」と一歩引いて観察して、このおかしさを分析するようになることです。

そして、自己愛マザーの周りをぐるぐる回るという生き方から、脱していく必要があります。

それには、この3つが必要です。


  1. 投影のメカニズムを理解する
  2. 母親や周囲の妬みの感情を理解し、それに対処する
  3. 内面化したネガティブなメッセージを一掃する


なぜ、自己愛マザーは、子どもを妬むのでしょうか?

これは、低い自尊心から来ると思われます。

高い自尊心の人は、周りにいくら優秀な人や美しい人がいても、関係ないです。

なぜなら、「私には私の良さがある」と思えるからです。

でも、低い自尊心の人は、周りが良いから自分がダメに見えると考えます。

すると、それが子どもでさえも「あいつが悪い」となってしまうのです。

しかし、多くの妬みを向けられた子どもは、「自分が悪い」と思ってせっかくの長所などを隠そうとします。

これは、もったいないです。

また、3番の内面化したネガティブなメッセージを一掃するには、どうしたら良いか?

これは、思い浮かんでくるごとに、通り過ぎずにしっかりと当時のことを思い出し、いかに根拠のないものだったか、子供っぽい行動だったかを理解することです。

これは、1日や2日で一掃できるはずがないので、思い出したら一つづつ処理するようにしてください。

トイレ掃除のように、こまめにすることが重要です。




3.自分自身の考え(価値観)、感情、欲求を持つ


著者によると、インナーマザーを自分の中に作るということを言ってます。

1番に出てきた「理想の母親像」を自分の中に作ろうというものです。

そして、つらいとき現実の母親は1〜3歳児なのですから、自分の中の理想の母親に相談したり、頼ったりするのです。

褒めて欲しいことを褒めてあげるのも、インナーマザーに求めます。

多くの人は、褒めてもらうのを、赤の他人に求めますが、このような子どもっぽい要求は、多くの場合、うとまれます。

でも、自分で自分を褒めるなら、誰にもわかりません。それができたら最強です。

このように内面と向き合う習慣ができると、自分の気持ちとか価値観に、簡単にアクセスできるようになります。

そうなったら、自分に聞いてみてください。

例えば……

  • あなたが一番大切なのは何?
  • どんな時に幸せを感じる?
  • 充実感を覚えるときは、どんなとき?
  • 夢中になれるもの。才能があると感じていることは?

こんな時に、不意に邪魔をするのが、内面化した自己愛マザーです。

そんなときは、ぜひ思い出してください。Jレナードの言葉です。


創造的で優秀であるためには、利己的であらねばならない。

あなたが何かを見つけてブレークスルー(現状、壁を突破する)とき、あなたに求められるのは、集中と没頭だ。

家族や周囲の求めに応じる前に、あなた自身の心と知性の欲求に応じなければならない。

妥当で責任をともなう自己本位な振る舞いが、あなたが大切に思う人たちの長期的な利益を築くのだ。


あなたは、もしかすると責任を伴わない利己的な人から、「利己的だ」「勝手だ」「勝手は許さない」などと言われて、自信を失ったのではないでしょうか。

このような呪文を消すには、責任のある利己的な振る舞いが必要なようです。




4.健全な方法で母親に向き合う


自己愛マザーと健全に付き合うことは可能なのか?

これは、非常に難しいと言えます。

なぜなら、本人が自己愛と気づき、さらに改善しようとしなければ始まらないからです。

もし、親子との関係が悪いのに、長期間何も変わらないならば、一生そのままの可能性が高いと認めざるを得ません。

つまり「変わる意思はない」ということです。

著者は、このような自己愛マザーとは、心の触れ合いを求めず、あくまでも儀礼的に付き合うこと、また、自分自身の精神状態によっては、一時的に接触を断つことを勧めています。

しかし、「呑み込む」親などの場合、接触を絶とうとすると、さらにしつこく攻撃的に詰め寄ってくる場合もあります。

厄介ですが、考えてみるとこれは、明らかに敵に対する行為です。

これを愛だと思うなら、あなたに境界が作れてない可能性があります。

呑み込まれたままで放置しているということです。

境界とは、自分と他人との距離です。

当然、危険な人からは離れて身を守る必要があります。

そして、一度決めた境界は絶対に守ることです。

呑み込む人は、ジリジリと境界を犯して、それを「成功体験」にしてしまうので、そこはきっちりと守りましょう。

陣取りゲームで、ずっと相手を許していたら自分の陣地はなくなってしまいます。


「責める」ではなく「愛する」ウエイトを増やす


これは、憎っくき自己愛マザーを「許して愛しましょう」という意味ではありません。

あなたの人生の多くの時間を、憎む相手に向けるのではなく、愛する相手に向けることが、「幸福」に繋がると思います。

例えば、嫌いなタレントが出るテレビを見て嫌な気分になるより、好きなタレントが出るテレビにかえるようなものです。



私たちは、家族とか親子などの「関係性」にとらわれすぎて、視野が狭くなってしまって、嫌いな人でもずっと目を向けていることがあります。

でも、自己愛マザーにとっては、たとえ嫌われていても相手をしてくれるなら、「それで良い」と思っている人も多いです。

なぜなら、動画でも言いましたが、自己愛マザーは「世間から見た評価」が重要なので、心が通い合ってなくても「世間から見ると良さげに見える」だけで良いのです。

このような偽りの関係を続けるために、心を悩ます必要があるでしょうか?

5.自己愛傾向は、自分の代で終わりにする

自己愛傾向は、「世代をまたいで伝達される」とよく言われます。

そして、実際以上に気にしているのが、子どもの方です。

つまり、「自分がされて嫌だったことを、自分がやっていたらどうしよう?」というものです。

これも、しっかりと自分を俯瞰して観察することが、それが違った見方をしていたのか、それとも本当に自己愛的な傾向を受け継いでいるか、もう一度確認してみましょう。

健全な自己(自己愛の反対)にとっていちばん大切なのは、

  • 人を愛する能力
  • 共感を示せる能力

です。

自己愛マザーの子どもなら、どちらも手に入れることはできなかったでしょう。

でも、これからでも決して遅くはないと思います。

人を愛せなくても、動物や植物などを愛せるならそれで良いし、愛が育つには、共感……つまり「相手には何が不足しているのか」、「現状に不満はないか?」などと考えるのは当然のことになっているのです。

結局、自分の幸せは自分で作り出すのですから、共感といってもそこまで広範囲に考えなくて良いのです。現状の不満などを汲み取ることができれば、それで十分なのです。

色々回復について説明しましたが、このような回復の過程は、きっと生涯続くのでしょう。

すぐに解決を求めず、自分の持病のようなものだと思って気長に付き合っていくことも、大切だと思います。

以上で終わります。ありがとうございました。

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