愛着理論といえば、ボウルビィが有名ですが、彼を始点に多くの人が愛着理論を成長させていきました。
メアリーメイン、そして今回のフォーナギーです。
フォーナギーはロンドン大学の新米講師だった時、ボウルビィが客員教授として出会い、講義を受けることになったそうです。
メンタライジング
メンタライジングとは、このように説明してます。
世界に関する体験を仲介する「心」という物があるということを悟るプロセス
ということです。
これは、「私はこう感じている」というような自己認識ではなく、心全般に関する知識のことだそうです。
また、反省機能という言葉も使用してます。
反省機能
反省機能とは、自分が悪いと責めることではなく、自分自身や他者を心理的な深みを持つ存在としてみることができるということです。
これは、以前「意味まで考える」という解釈をしたことがあります。
その人の表面的な態度とか言語だけでなく、「その時あの人はどんな状況でどんな具合になって、あのような言葉を吐いたのか」というところまで深めて理解しようとすることです。
思慮深さとか冷静さなどが必要になります。
すごく難しいのですが、これができる人とできない人では、同じ問題を前にしても、その人に及ぼす影響やその後の展開、将来まで大きく違ってくるのは想像がつきます。
このような反省機能を備えた人は、強いメンタライジング力を持って、問題を解決していくことが、低い人よりも可能になります。
これは、カウンセラーなどの支援者にも言えることで、表面的な言葉などに反応ばかりする人は、話を深めたり、目の前の人が言葉にできない言葉を受け取ることは難しくなります。
では、どのような人が強いメンタライジング力があるのかを、お伝えします。
強いメンタライジング力のある人の特徴
1. 心理状態というものの本質に気づいていること
- 自分自身や他者に関する私たちの理解は、いつも決まって不完全だということ。
- 人は、痛みを最小限に抑えるために心理状態を修正するかもしれないということ。
- 人は、内的状態を意識的に偽るかもしれないということ。
- 一定の状況においては、一定の心理的反応が予測できるということ。
2. 行動の根底にある心理状態を詳しく識別しようと心がけていること
- 行動について、信念・感情・願望の見地からもっともな説明ができること。
- 他者に関する私たちの解釈が、自分自身の心理状態の影響を受けているかもしれないということを理解していること。
- ある状況に関する感情が、その状況の客観的見地とは一致していないかもしれないということを悟っていること。
3. 心理状態の「発達的」様相を認識していること
- 昨日感じたことは、今日あるいは明日感じることとは異なっているかもしれないということ。
- 親の行動は、親自身の親の行動により形作られていると同時に、その子どもの行動を形作ってもいるということ。
- 児童期の視点は、しばしば成人としての理解の見地から修正される必要があるということ。
4. 面接者に関連する心理状態に気づいていること
- 話さなければ治療者は患者が知っていることを知ることはできないということ。
- 治療者は、患者の物語に対し、治療者自身の固有の情緒的応答をするかもしれないということ。
- 治療者の成育史とその結果としての心理状態は、患者のそれとはかなり異なっているかもしれないということ。
このような高い反省力を持つ親は、そうでない親よりも3から4倍以上、安定型の子供を育てる可能性があると、追跡調査によって示したそうです。
また、強い反省力には、不利な愛着史のせいでそのまま行くと「不安定型」の子供を育てるところを、その世代にわたる悪循環を壊す力もあると言ってます。
愛着と精神療法より