先日、自己愛人間に対する対処法という内容でお送りしました。
改めて「自分は自己愛人間だ」と思ったかたも、いたのではないでしょうか?
今日は、このような自己愛に傷を持つかたへ、どうやったら健全な自己愛に持っていけるのかを、考えてみたいと思います。
いつ「恥」は生まれたのか?
恥は、私たちを無力または無意味だと感じさせることによって機能します。私たちは失敗し、恥と屈辱の増大に耐えることを恐れて、自分自身を主張することを禁じられています。
ということです。
よく、母親などが「だから失敗するって言ったじゃない」などと、あとで言うことがあります。
こう言われると、まさに恥の意識が出て、「やっぱり自分はダメなんだ」と屈辱感を覚えます。
これこそが、悪意の支配者の思う壺なのでは、ないでしょうか。
そして、このような経験を何度か繰り返すうちに、自分の中の信念が、書き換えられていきます。
子供は生まれた時は、誰でも自信たっぷりです。
でも、このような恥の経験によって、自信を失い、「自分には状況を良くする能力などない 」と言う信念に書き換えていくのです。
これは、無価値感と拒絶の感情です。
本来なら、そんな時に「そんなことない、失敗から学べるよ」などとなだめてもらえたなら、無価値感などはすぐに消えると思います。
でも、悪意の支配者であるなら、さらにその傷をえぐるような対応をします。
なぜ、そんな悪趣味なことを、わざわざするのでしょうか?
これは、「恥」と言う感情は、その人を衰弱させる力があります。
つまり、主体的に動いたり、自立するようなことを妨げます。
そうすれば、いつまでも悪意の支配者の元にいないといけなくなります。
つまり、恥をかかせて弱体化させて、支配力を高めると言う作戦です。
また、ピーターブレギン博士は、このように言います。
加害者(悪意の支配者)は自分の卑劣な行動について、罪悪感、恥ずかしさ、不安を感じません。
彼らは正当化され、資格があり、権限を与えられていると信じている。
そして、彼らの無実の犠牲者は、自己敗北性の否定的な感情を、生涯の遺産として残していく。
と言うことです。
また、そのような悪意の犠牲者の関わりに対して、犠牲者は「ただその状況に耐えることしかできない」と思っています。
これも、自信を失って「自分には状況を変えることができない」と思い込んでいるからです。
ただ、自分には他に状況は変えられないか?と悩んで、少しでも補う努力をする場合もあります。
例えば、スポーツとか、勉強、人に尽くして喜ばす、キャリアをつけたり、経済的な成功などを目指します。
でも、これは恥を隠すための努力なので、ほとんどが失敗します。
私たちは、このような繰り返しを、ひたすら続けているのかもしれません。
では、どうしたらこの繰り返しをやめて、恥を克服することができるでしょうか?
恥を克服する方法
恥についていろいろと話してきましたが、いかがでしょうか。
ちょっといかりが湧いてきたならチャンスです。
なぜなら、いかりは真実を見る勇気を与えてくれるからです。
もし、本当に今すぐに、克服したいのであれば、一番の方法は「目を覚ますこと」だと思います。
いかに身勝手な理由で操作をされてきたのかを知って、その人を冷静に眺めることです。
そうしたら、悪意の支配者のやっていることは、実に単純に見えてきます。
毎回、同じストーリー展開のドラマを見ているような気づきがあると思います。
これが、目がさめると言うことです。
では、具体的に、四つのステップで、紹介していきます。
大まかに言うと、恥を利用してあなたを支配しようとしたり優位に立とうと考える人を、見極めることです。
そして、いつもの負けパターンを壊していくことです。
また、恥の本当の克服は、恥を避けるのではなく、恥を話せるまともな人を新しく探して、恥を共有することです。
こちらは、ブレーネブラウンの弱さの克服を参考にしてます。
では、早速いきましょう。
1.恥のサイクルを知る
以前、近所のおばあさんが、犬を放し飼いにして散歩をするので、その犬に足を噛まれたことがありました。
その時のおばあさんの恍惚とした表情をよく覚えています。
当時は「迷惑をかけてなんて顔をしているだ」と思いましたが、まさしくこのような人が「悪意の支配者」であり、この仕掛けが「恥のサイクル」なのです。
恥のサイクルを回そうとして、飼い犬を使っているのだと思います。
このように街を歩くだけでも、恥のサイクルは、勝手に回り出す危険があります。
まずは、このサイクルに気づくことが重要です。
どんなきっかけで恥のサイクルが始まり、どんなプロセスを経て、屈辱の結果を生み出すのかです。
これは、とても気分が悪いものですが、ここは我慢をして思い出すことが重要です。
「あなたに恥をかかせたのはだれ?」
「あなたはどんな恥が苦手?」
「その時、どんな気持ちになった?」
などと、具体的に思い出して、自分の恥の特徴や、サイクルを理解してください。
2.恥のサイクルを回さない
自分の弱点とかいつものパターンがわかれば、過去の悪意の支配者に似た性格の人などを、あらかじめ避けておくことなどができるようになります。
そして、偶然が重なって恥のサイクルが回りだしても、気づいたらすぐに止めるようにします。
ただ、今までの犠牲者の行動パターンは、かなり残っているはずなので、つらいかもしれませんが、ぐっとこらえて恥のサイクルをこれ以上回さないようにしてください。
3.恥を共有する
この頃になれば、悪意の支配者からは距離をおき、以前よりは安定した日々を送れるようになると思います。
でも、これまでは恥をかかないための行為です。
3番からは、「あえて恥をかく」ことを目標にします。
あなたが今まで、避け続けてきたかもしれないことです。
恥とは、無力であることを認めることです。
そして、恥を話すとは、「私は無力な人間だ」と他人に伝えることです。
これは、傷つく可能性もありますし、非常に勇気がいることです。
まさに過去の傷を広げる危険もあります。
でも、これは非常に重要なのです。
なぜなら、恥を持ったまま隠し続けることは、まだ過去の悪意の支配者の、支配下にいると言うことなのです。
できたら、その支配から抜け出したいですよね?
そのためには、自分の恥を利用しない、別の人を探すのです。
その人は、あなたを受け入れられるかどうかは、話してみないとわかりません。
でも、このように自分の無力さを伝えることは、他者のコントロールから、自分のコントロールに移ったと言うことなのです。
なぜなら、もう悪意の支配者から恥をかかされても、あなたはその恥を隠す必要がなくなるからです。
そして、もしその恥を共有してくれる人がいれば、その恥は力を失っていきます。
4.共感こそが恥を退治する
共感というのは、ただただ受け入れてもらう経験です。
「わかるー」とか「私も同じ」などです。
このような共感は、一人じゃないと思えます。
恥の始まりは、人との断絶の恐れから始まりますが、恥を共有したり、共感し合うことで、他人とつながりができます。
そのことで、恥は克服できるのです。
ただ、優しい顔をした、悪意の支配者に、当たってしまうこともあると思います。
そこは、想定内で覚悟を決めて、やっていくしかありません。
それくらい恥の克服は、大変な作業なのです。
これからは人と出会う時に、このような物差しを使ってみてはいかがでしょう?
「自分の恥を話せる相手か?」
「恥を使って操作する相手ではないか?」
「共感しあえる相手か?」
などです。
いかがでしょうか。
では、恥をかかされた人が、結局 一番惨めで不幸になるのでしょうか?
私は「ノー」と言いたいです。
恥をかかされた人は、その真実に気づけば、恥をかかす人から離れることができます。
でも、恥をかかせることで支配することを覚えた人は、自分自身がそのことでメリットとか中毒性のものを得ることを覚えたので、そうそう抜け出せるものではないと思います。
失敗体験は依存性は低いですが、成功体験は非常に依存性が高くて、そのやり方を変えられずにいる人が、実に多いこと多いこと。
何度失敗しても、恥を使って人を操作しようとして、最後には誰からも相手にされず、そして最後には半狂乱のようになって世の中を憂うのだと思います。
あなたは、どちらでしょうか?
つまり、恥をかかされているうちは、「人としてマトモ」ってことだと私は思います。
太宰治の「恥」
恥について調べる中で、太宰治の短編小説「恥」がありました。
23歳の女性が小説家である中年の冴えない男性に、手紙を書き実際に会いに行く(心の中では逢いに行ってあげる)というものでした。
なぜ、この女性が自分を恥を感じているかというと、その「冴えない」男性は、実はとても素敵な人物であり、素敵な奥さんもいたとのこと。
そして、彼女が送った手紙についても、小説家の男性は気に掛ける様子もなかったようで、女性の中だけで恋心が勝手に芽生えて、いろんな理想というか都合の良い予想をしていたのでした……。
このような勘違いこそが本当の「恥」であるように思います。
これはまさしく自分のイメージで勝手に作り上げたものが、対象者には全く伝わってないというような「始まってもない」事態こそが「恥」なのでしょう。
だから、誰かが作り上げた「恥」などは、簡易的な偽物なのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。