前に愛着障害という話をしましたが、今回は特に「親の自己愛」について考えてみます。
これがわかると、タイトルのようになぜ親から愛されなかったのか、愛されるどころかひどい扱いを受けてきたのかが理解できると思います。
コンプレックスとは?
最近はあまり聞きませんが、「マザーコンプレックス」という言葉があります。
これは、よく男性などに使われますが、マザコンは「親の支配から卒業できてない」ことを意味します。
この中身は非常に複雑な思いが混じっています。
一つは、母親を慕う気持ちです。
また、もう一つは、母親を憎む気持ちです。
これが絡み合っているので、離れることもなく嫌な感情を持っていながら「愛されたい」と願うということです。
普通の人は、母親に対して独り占めしたいという思いを抱きながら、年齢を重ねていくと「それは無理だ」「もう十分だ」と気がついて、他の人を探すようになっていきます。
これがうまくいかないと、いつまでも子供をペット化したり、支配の中で生きてもらおうとする親のいいなりになって、大人になりきれないまま年齢を重ねてしまいます。
このような人は、対人恐怖があったり、自己主張ができない、上下関係を好む(従属する)ような特徴があります。
あなたも当てはまるでしょうか?
そんな状態で、どうして自分は愛されなかったのかについて、今回は理解してもらうことで、次へのステップにつながると思っています。
子供を愛せない親がいる
タイトルで、「親から愛されなかった理由」と書きましたが、それはあなたがそう思っているからこのタイトルにしました。
でも、本当は違います。
正確には、「子供を愛せない親がいる」ということです。
これは、そう感じた子供のほとんどが「自分のせいだ」と感じていると思いますが、これは冷静に観察すると、間違いなく親の問題です。
でも、親の優位な立場とか、馴れ合いの関係によって、「あんたのせいよ」と言い放ち、それを子供が真正面から受け止めてしまったということです。
原因としては、この二つが考えられます。
一つは、未熟な自己愛です。
また、もう一つは、愛着の問題です。
一つづつ説明します。
1.未熟な自己愛
ちょっと想像してください。
このイラストのような子供が、突然 母親になったらどんな母親になると思いますか?
きっと、子供の世話とか、気持ちを理解してあげることは難しいと思います。
未熟な自己愛とは、このような内面の人が親の役割をするようなものです。
だから、いろんなところで子供っぽい面が出てきます。
例えば・・
自分が主役でないと気が済まない
このような特徴があります。
「あんたより私の方がまだまだいける」などとしゃしゃり出てきます。
これは、幼い自己顕示欲です。
こうすると、子供はその相手をしないといけなくなります。
また・・・
子供で自分の自己愛を満たそうとする
親からの愛を求める気持ちを、自分の子供に求めてしまうのです。
また、その役目をしない子供には、冷たく当たったり、愛情をかけなくなることもあります。
これこそが、タイトルの愛されなかった原因かもしれません。
また・・・
子供に問題があると思っている
このような親はすごく多いです。
例えば、性格障害などの診断を受けた時に、検索をしてこちらのサイトに訪れる人も多いですが、そのような親のほとんどは「自分」が原因とは思っていませんし、そのような内容にはすごく怒りをぶつけてきます。
また、このような自己愛を満たすために、子供を自分の思い通りにしたがる親がいます。
これも、二つに分かれます。
自分のコピーにしたがる(鏡転移)
理想を叶えて欲しがる(理想化転移)です。
1.自分のコピーにしたがる(鏡転移)
これは、きょうだいなどでも自分に似ている部分を探して、そっちに手をかけて自分のコピーを作ろうとすることがあります。
つまり、自分の意思を持たずに、いいなりになる子供を「良い子」と判断して、そちらを愛します。
2.理想を叶えて欲しがる(理想化転移)
これは、自分の夢とかしたかったこと、承認欲求などを子供に押し付けてしまいます。
子供はそれを達成することで、親が喜ぶのでそのスタイル(条件付きの愛)を満たすことに明け暮れます。
当然ですが、そのような子供は大人になっても、何か人より優れることで愛されると信じています。
ただ、うまくいく場合と、途中で失速する場合があります。
私は早く失速する方が、実は正常だと思うのですが、うまくいくと利己主義な大人になってしまいます。
あなたが親から愛されなかった理由
あなたがこれまでの話が当てはまり、愛されなかったと思っているなら、それはあなたの自我がしっかりしていて、支配下に収まらなかったからではないでしょうか。
このような幼い自己愛の親は、家族という小さなグループの中で、自由奔放にやってきました。
自分の言うことを聞く子供を味方にして、いうことを聞かない子供を敵、もしくは悪役にして、マイナスの感情のはけ口にします。
このような親にとっては、家族やきょうだいが仲が悪い方が都合が良いのです。
だから、わざとお互いの悪口を言って、険悪にさせる人もいます。
抵抗両価型愛着
また、愛されないと感じる人は、特に愛されたいという気持ちを、怒りになどに変えて攻撃するような特徴があるかもしれません。
このようなタイプを、抵抗両価型愛着といって抵抗することで愛を求めるという、少し複雑な方法をとります。
これが理解されない原因だと思います。
未熟な親は、そのような行為の「行動面」しか見て判断することしかできません。
つまり、相手の本当の気持ちとか、行間などを読むことはできないのです。
だから余計に、避けられたか疎ましいと思われた可能性が高いです。
愛されなかった過去を克服するには?
1.自分の感情とか過去に向き合う
まず、一つは自分の感情とか過去に向き合うことです。
自分を悪者にしてしまいにせずに、現実にどんなことが行われていたのかを直視することです。
そして、自分が間違って理解させられていたことに気づくことです。
これは、当時の親などに理解させる必要はないです。
きっと、理解できないと思います。
自分の中で、納得することが大事です。
次は・・・
2.安全基地を作る
安全基地を作ることです。
あなたを相手の都合ではなく、ちゃんとわかってくれる人や環境を探します。
そのためには、1番で自分に起きたことをしっかりと理解しておく必要があります。
「私は愛される能力がないのではなく、親が愛することができない人だったのだ」と理解すれば、他の人が怖くなったり、あなたが尻込みすることはなくなるはずです。
安全基地がわかる方法
この安全基地を探す時に、わかりやすい方法をお伝えします。
まず、自分が窮地に陥った時に、「誰に頼りたいか?」を、真剣に 真剣に考えてください。
あわよくば有名人・・などというファンタジーではなく、自分を大切に扱ってくれそうな人をじっくり考えてみるのです。
もちろん、相手の意思も必要になります。
このような時に、例えば親などの顔が思い浮かばない、もしくは、「どうしても嫌だ」と思うなら、それがあなたの本当の気持ちです。
記憶は消すことができても、気持ちでは覚えているのです。
その気持ちを大事にしてください。
幼い自己愛に付き合う末路
以前に、大塚家具でこのようなお家騒動が、明るみになったことがありました。
あの娘さんも社長になったものの、経営がうまくいかずに結局は辞任されました。
ふと振り返って「あれは、なんだったんだろう?」と思われているのではないかと、うっすら感じることがあります。
年齢にして50歳代でしょうか。人生の大切な時間の多くを、あのゴタゴタで費やしました。
しかし、これは珍しいケースではないと思います。
支配を知った幼い自己愛の人は、その支配下に収めたい人を力づくで屈服させようとして、それができないと「滅ぼしてしまえ!」とまで思うものです。
まさにこれこそが万能感でいっぱいの「子供の考え」なのです。
それに付き合う必要があるのか、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。