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2021年1月28日木曜日

トラウマ返しー関係回復への道のりー


あなたは、何か大きな出来事があってそこで立ち止まっていませんか?

今日は、このような心の傷があり対象となる人物などとの関係を改善したいと考えているかたにお伝えしたいと思います。


トラウマ返しとは


トラウマ返しとは、教育心理学者の小野修先生が取り上げたトラウマから回復するための一つの方法です。

このかたの書籍では、主に親の立場で「どう子供のトラウマ返しを受け取るか?」という内容ですが、ここでは子供の立場に立って、お伝えしたいと思います。

もし、親の立場でお悩みのかたはこの書籍をぜひ読んでみてください。

中古なら残っているようです。

あなたは、トラウマ返しをしたような記憶は、ありませんか?

これは、著者によるとこのような内容です。


子供が記憶を遡って、幼少期から現在までの間に、親の言動で傷ついたことを数限りなく列挙し、親を非難・攻撃します。

あるいは、今まで観察し続けてきた親の問題点をズバリと言い当てます。

親としては、すでに記憶はなく非常に驚くことになります。


いかがでしょうか?

妙に突っかかろうとしたり、話しあうというか罵りあうような行動に出たことはないですか?

このような、トラウマ返しを親が受け止めると、子供は延々と話し続けて時には何週間とか、何ヶ月とか話し続けて、その結果元気を取り戻して、改めて自分の人生を歩み始めることになります。

ただ、これには受け止める人が必要なので、うまくいくことは難しいです。

また、このような書籍を読んだりする親などは、意識が高く頭ではわかったつもりになる人も多いので、スキルばかりを磨いて実際には子供の気持ちを全く理解できてなくてさらに子供を、傷つけることもあります。

では、子供はどうしてこのような心の傷を作ったのでしょうか?

一般的には、「親の愛がないと知った時」です。

そして、その確認作業何度も何年も繰り返したあと「やっぱりない」と、どこかで絶望し挫折をします。

このようなことをしている間、親はほとんど気づくことなく何気なく通過していることがほとんどです。

だから、トラウマ返しをされると非常に驚くのです。



問題点としては、心の傷を作った、親本人に加害意識がないことです。

むしろ、「一生懸命やっている」などと自己評価が非常に高いことも大きな特徴です。

本来なら、ここは親子関係のやり直しのチャンスですから向き合うところでしたが、残念ながらこうして未解決のまま時間が過ぎていくことになります。




また、このようにはっきりとトラウマ返しをする人もいれば、無言のトラウマ返しをする人もいます。

これは、睨みつけるとか、ものに当たる・無視をする・病気になるなどです。

なぜ、無言で訴えるのかというと、親が聞く準備がないことに気づいているからです。

だから、「言っても仕方がない」と思い態度や症状で訴えます。

しかし、このような親は、自分のことだと気づくことは稀で子供の症状とか行動ばかりに、目を向け大騒ぎします。

すると、子供はさらに理解してもらえていないと実感し問題児にまでされるのですからたまりません。


トラウマ返しを受け止めない理由

では、なぜトラウマ返しを受け止めないのでしょうか?


一つは、良い親というイメージが壊れてしまうという恐れです。


今まで自分が上の立場で子供が下だったのに、子供の意見を聞けば自分の立場が危うくなると思うのでしょう。

また、もう一つの理由は

取るに足らないことだと思っているからです。

つまり、子供を傷つけていることに全く気づいてないし気づこうともしてないということです。


これも問題ですが、さらに問題が複雑になることもあります。



それは、最初にも言ったように、意識高い系の人はいろんな情報を持ってます。

そして、セミナーなどで聞いてきた情報を元に、口先だけの謝罪などをすることがあります。

これによって、子供はさらに傷つくこともあります。

また、このプロセスを知っていて、さっさと済ますために親から仕掛ける場合もあります。

「何か、言いたいことないの?」などと、トラウマ返しを要求してくるケースです。

これも、子供の繊細な気持ちを無視した小手先の小細工であり、このような考えかたこそが子供を傷つけていることに気づいてないことが本当の問題なのです。

子供が愛を失ったと気づいた理由であるかもしれません。

では、このような共感力がない人をどう理解したらよいでしょうか?


共感力がない人とは?


一つは、感情が固まっている可能性があります。


例えば、「私さえ我慢すれば」と生きてきた人は、本来の感情を我慢して生きてきたはずです。

そのような人は、感情が固まっていることがむしろよいことであり、当然子供などにも同じことを教えます。

このような症状を、失感情症という人もいれば、情緒障害という人もいます。

ちょっと、身近な人のことを思い出してみてください。


感情が働いているかのチェック


5つほど質問をするので、イエスかノーで答えてください。


1.その人が、大笑いしているところをみたことはありますか?


2.その人が鼻歌を歌っているところをみたことはありますか?


3.その人が、大泣きしているところをみたことはありますか?


4.その人が、飛び上がって喜んでいる姿を、みたことはありますか?


5.綺麗な景色を見て感動しているところを、見たことはありますか?


いかがでしょうか?


ノーが多いならば、感情が固まっている可能性があります。


このような感情が固まった人は、冷静であるわけではないのです。

時には突然きれたりするので、爆弾を抱え込んだような状態です。

だから、相手にとってはどうなるかの想像がつかないので、それが恐怖にもなってしまいます。

つまり、感情を我慢することは自分の感情をただ我慢するだけで、コントロールできてないことでもあるのです。

では、このような失感情症や情緒障害を回復していくには、どうしたらよいのでしょうか?



失感情症や情緒障害を回復していくには




本人が気づいていればそれは話が早いです。

逆にそれがないと、回復できません。

今まで、建前だけで生きてきたことを明確化していきます。

つまり、「私って自分の感情を無視して、建前だけで生きてきたな」と実感をすれば、自然と感情を大事にするようになります。

また、人から見られる自分を軸にするのではなく、本音を軸に生き直すことです。

そして、本音を言える相手や環境を見つけていくことです。

このような環境で育つと、その子供も同じように感情を我慢するようになります。

あなたも当てはまるなら、自分の感情について意識するとよいでしょう。

このように、トラウマ返しは子供のつよい決意も当然ですが、親の受け入れ準備がないとうまくいかないものです。

うまくいくかいかないかは、親の気づきと受け止める力です。

もし、可能性がゼロに近いのであれば、カウンセリングやエンカウンターなどでトラウマ返しをすることを、お勧めします。


退行からの育ち直し


退行というと、「子どもがえり」と呼ばれることもあります。

これは、引きこもったり不登校になるのも退行現象です。

ただ、これを見た人たちは、「この人は異常だ」と騒ぎますが、これがまず間違いなのです。

「おかしい」ことを不器用ながらにも「行動」で示していることに、気づくことです。

逆に今までが、過剰適応であったり偽適応であったのです。

その結果、仕事や人間関係で挫折をして未解決の問題にまで戻るのが退行です。

つまり、あなたがトラウマ返しで語りたいことがその(退行の)地点なのです。

そこから、今まで実は発達が停滞していたのに取り繕って生きてきたことになります。

だから、退行現象をしているならそれを「おかしい」とか「直そう」とは思わないことです。

そのことは、まさしく以前の過剰適応であったり偽適応に戻ることを意味します。

そして、できたら、心の傷をつけた相手にトラウマ返しを考えてみてください。

ただ、相手があまりにも受け止める可能性がゼロに近いなら、きっと上手くはいかないはずです。

でも、何度かやって、徐々に受け止めるようになった例もあります。

これは、あなた自身が決めるしかないですが、後悔しないために試しに言ってみるのも、よいと思います。

それに対して、まったくの無反応とか無視をされたらその人は「共感力がない」と諦めることもできます。

つまり、「やるだけやった」と言う達成感は得られます😊

私たちは、できたら最善の方法で最高の結果を求めますが、それが叶わないことを知るのも人間の成長だと思います。


また、このような、未解決の問題に取り組むのに重要なのは、お互いの自立した心だと思います。

自立とは、自分の問題に主体的に取り組むことです。

親ならば、拒否したりせずに自分に不満を持った人の不満を受け止めてみることです。

また、子供ならば、「どうしてくれるんだ?」気持ちから「私はどうしようか」という気持ちになることです。

これがないまま形だけの解決を目指すと、時間だけの浪費となってしまいます。


例えば、よい子などは、親の期待に応えるように育てられます。

そして、社会に出ても誰からの期待にも答えようとして、どこかで利用されることになります。

そして、挫折をしますが、そのことで多くのことを学びます。

「実は、期待に応えることで、愛という報酬を求めていたんだな」というような気づきです。

そして、その辺の他者に対する期待を捨てて「主体的に生きよう」となるのです。

これが自立です。

これは、親などの育ちにもきっと問題があって、親が子供について取りくもうとすると自分の問題があらわになって驚くことがあります。

それだけ問題は複雑化しており、何代もの世代にまたがるものなのです。



最後に

今回は、トラウマ返しについて話しましたが、ただ言いたいことを言い放つのでは、復讐に似たものになってしまいます。

復讐ではなく、トラウマ返しの後に関係性の改善を望むのであれば、大切なことがあります。

それは、最初にも言いましたが、建前をやめて本音に戻る(なる)ことです。

機能不全家族などは、きっと家族全員が建前で生きてます。

多くは父親から始まり、母親もそうなって子供にも伝わっていきます。

この建前を全員がやめなくては、きっと機能することはないでしょう。

そして、まず誰が先陣を切るのかです。

それは、まさしく気が付いた人です。

多くの人は、建前の関係が当たり前だと思って、死んでいくのでしょう。

でも、もしあなたがそれに気づいたなら、自分から本音で生きるスタートを切ることです。

そして、「これから接する人は本音を語り会える人だけ」くらいに決意しておけば、「それを反対しようとする人は、建前人間なんだから切り捨てても良いのだ」くらいに思ってください。


父親も母親も子供も全員その作業がなかったので、正常な人がおかしくなったのです。

つまり正常な人はIPです。

IP(identified patient)

一人ひとりを家族システムを構成するメンバーととらえる家族療法では、問題や症状を訴える人のことを、家族の問題を代表して病気になった人という意味をこめてIP(患者とみなされた人)と呼ぶ。

つまり、トラウマ返しとは、IPが行動で示してきたものを、言語化したことになります。

これは、やる方も見事な進化ですし、これを受け止めないのはかなり残念なことなのです。


もし、あなたにパワーがあるなら、トラウマ返しをして本音の関わりを試してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


動画になります




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