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2021年1月9日土曜日

家族統合法(後半)ークリッツバーグー

 


今回は、AC(アダルトチルドレン)が自分の育った環境をしっかりと見つめ直すためのワークをお伝えします。

著書は、アダルトチルドレン・シンドロームと言います。


すでに絶版になっているようですが、中古とか新古などではまだあります。

よかったら、探して読んでみてください。


さて、前半では家族統合法の11項目の3番までをやりました。

まだ読まれていない方は、前半からご覧ください(前半へ

今回は、4番から進めていきます。

  1. 日々の記録
  2. 家系図
  3. 家族状況表
  4. 家族の神話
  5. 生い立ち
  6. 魔法の子供
  7. 家族の成員
  8. 家族以外の重要な人々
  9. 自己肯定訓練
  10. 神についての考察
  11. 統合



4.家族の神話

あなたが生まれ育った家族には、今でも語り続けているようなエピソードなどはありますか?

ACや機能不全家族には、4つのルール(硬直,沈黙,否認,孤立)があるので、そのようなエピソードも歪んで伝えられることも多く、真実を見ることができませんでした。

ですから、今こそこの家族の中の神話を確かめてみてください。

よくある神話は、「うちはまともだ」とか「正常だ」と言った神話です。

このように、あえて当たり前のことを口に出しているのは、おかしいのです。

つまり、本当のところは「うちはおかしい」とか「正常ではない」という暗黙の真実があります。

それを隠すために、逆の神話を作っている可能性があります。

ACや機能不全家族の場合、両親が不仲であるか、どちらかが強力な支配者となって、もう一人は迎合するような場合もあります。

このような場合は、例えば夫が妻を崇拝するような神話を作り上げます。

例えば「お母さんの手料理はうまい」👈明らかに下手な場合でも。

「お母さんは良い妻だ」👈いつも部屋に籠っているような場合でも。

このような事実と言っていることが違う場合、子供は混乱します。

このような偽りの神話に騙され、そして表面的な家庭内の幸せを継続させるために、騙され続けるために、子供は感情を鈍化させる必要が出てきます。

ここの項目では、あなたの家にあったこのような神話を書いてみてください。

また、今は思い出さなくても、思い出したらこのページに戻って書いてください。




5.生い立ち


次に、生い立ちの項目です。

生い立ちとは、その名の通りで、あなたの自分の生い立ちを書いていきます。

ACや機能不全家族育ちには、生い立ちの記憶が少ないことが多いです。

それだけ、当時が苦痛だったからです。

この項目の目的は、次の二つです。

  1. 失われた子供時代の記憶を取り戻すこと
  2. その記憶に残っているトラウマを癒すこと

になります。

きっと、ACや機能不全家族育ちの場合、何か事件などが起きたとしても、その問題は解決されないまま放置されてきたはずです。

このような未解決の問題とそれをみないことにする為の抑圧は、ずっと心をむしばみ続けます。

こうした感情が処理されて初めて、行動が変化し、考え方や感じ方の古いパターンが打ち破られ、より健康的な生き方や対人関係が生まれます。

詳しくは、クリッツバーグの書籍をご覧いただきたいと思いますが、今回は重要な点だけお伝えします。

ここでは、節目になった出来事を思い出します。

気持ちが安定しているときに、少し目を閉じたりして、過去を思い出してみてください。

あなたの数十年の歴史の中で、あなたがACや機能不全家族育ちだと認識するに至った、大きな心の変化をもたらすことがあったはずです。

もし、思い浮かんだらルーズリーフを手に取ってください。

その方法をお伝えします。

1.ルーズリーフの1ページに日付を入れます。
2.取り上げたい出来事のタイトルを入れます。
3.この5つの問いに答えてください。
 (1)この頃私はどこで暮らしていたか?
 (2)この頃私は誰と暮らしていたか?
 (3)この頃私にとって重要だったのは何か?
 (4)この頃私が恐れていたのは何か?
 (5)この頃私の友達だったのは誰か?

いかがでしょうか。
これも、一回で全てを思い出すのではなく、思い出した時にこの項目を開いて記入するようにしてください。

こうして、過去の記憶を掘り起こすことで、断絶された記憶の空白を埋めることになって、過去と今がつながっていることに気がつきます。

それによって、記憶をなくす為、もしくは辛い思いを味わわないためにやってきた、思考や行動パターンを終えることができ、また終えることで新しい思考や行動パターンを作っていくことが可能になります。



6.魔法の子供


次の項目は、魔法の子供です。

あなたにとって、理解しやすいのは「インナーチャイルド」という言葉かもしれません。

このインナーチャイルドは、どんな表情をしているでしょうか?

どんな気持ちでいるでしょうか?

ACや機能不全家族育ちのインナーチャイルドは、危険な環境の中で、まずは生き延びること、危険から身を守ることを考えてきました。

でも、本当は疲れ果てるまで遊びたかったし、わがままも言いたかったはずです。

このインナーチャイルドが今まで我慢してきた「本当の欲求」を叶えてあげることが大事です。

そのためには、この項目で、インナーチャイルドの声を聞くことが大切になります。

その為の方法としては・・

  1. インナーチャイルドに手紙を書く
  2. インナーチャイルドと今のあなたが対話をする

この2つです。

では、まず最初に手紙を書いてみます。

ルーズリーフの1枚を取り出して、まずは日付を書いてから、インナーチャイルドに手紙を書いてください。

もし、あなたの気持ちをインナーチャイルドに伝えることができたら、今度はインナーチャイルドからの返信を書いてみます。

この時に、もしあなたが右利きなら、左手にペンを持って返信してみてください。

たどたどしい文字になりますが、素直な気持ちを取り戻せるかもしれません。

次に、二番の対話をしてみます。

対話は、実際に語るのは難しいですが、ルーズリーフに脚本のように、大人の私と子供の私、というように、役割を先に書いて対話をするような文で書いていくと、うまくいきます。

例えば、

大人の私:こんにちは!子供の私さん。

子供の私:こんにちは!大人の私さん。

このように進めていきます。

特に今でも残っているわだかまりとか、罪悪感などについて、対話をしてみると良いです。

そして、抑圧された子供の私が、感情を解放するように、「ここではなんでも言っていいよ」などと支えてあげましょう。




7.家族の成員


ここでは、あなたにとって重要な人物へ手紙を書き、そして対話をするというステップです。

前の6番では自分と対話しましたが、今度は親などとの対話です。

なんども言っているように、ACや機能不全家族には、未解決の問題ばかりです。

そもそも、問題を解決しようとしないから、ACや機能不全家族になったとも言えます。

このような根本的な問題を解決するためにも、家族の成員との対話は大切です。

ただ、ここでは実際の家族と対話することがゴールではありません。

なぜなら、このワークは家族のためではなく、あなたの為のものだからです。

もし、このような対話に付き合ってくれる家族だったなら、あなたはここまで苦しむことはなかったはずです。

だから、そんな人たちはほっておいて、自分が生きやすくなることを考えてください。

では、ここで何をするかをお伝えします。


1.あなたにとって重要な人物の「生い立ち」を箇条書きする。
2.ルーズリーフで対話をする。
3.ルーズリーフで手紙を書く。


このようになります。

1.あなたにとって重要な人物の「生い立ち」を箇条書きする。

「その人の生い立ちなんて知らない」と思うかもしれませんが、知っている範囲内で結構です。

例えば、何年に生まれた、何年に結婚した、何年に子供が生まれた、何年に死んだ、などです。

ただ、年順に書くというルールはなく、思い出したら書き加えていってください。

2.ルーズリーフで対話をする。
3.ルーズリーフで手紙を書く。

こちらは、前項で自分との対話と、インナーチャイルドへの手紙と同じ要領です。

このような対話や手紙は、今まで抑圧してきた感情を解放し、肯定するために非常に重要な方法です。

きっと、私よりセンスのある方達だと思っているので、ぜひ怒りの手紙なら怒ったイラストを入れたり、おどろおどろしい文字で書くなど工夫をして、盛り上げてください。

ここでは誰にも邪魔されることはないのです。

それでも罪悪感がわく?

こんな内的な作業にまで罪悪感がわく自分を、褒めてあげてください。




8.家族以外の重要な人々


ここでは、良い意味と悪い意味での「他人」が登場します。

良い意味では、ACや機能不全家族の私たちを、みるにみかねて助けてくれた近所の人とか、なぜか自分に肯定的な言葉をかけてくれた人など、思い出す存在はないでしょうか?

このような存在は、アンカーリンクとも呼ばれます。

アンカーとは、イカリのことです。

意味合いとしては、よりどころという意味です。

自信を失った時に、その人の顔を思い出すとほっこりするような存在です。

これをしっかりと固定しておくために、この項にはその存在を書き記します。

できたら、具体的にどんな言葉をくれたのか、どんな気持ちになったのか、などを詳しく書いてください。

逆に、いじめなどでひどく傷つけられた記憶もあると思います。

この場合は、あなたの気持ちは閉じたままなので、前項のように、対話もしくは手紙の手法を使って、当時の感情や伝えたいことを解放していくようにしてください。




9.自己肯定訓練

ACや機能不全家族育ちは、非常に低い自己イメージを持っています。

それは、安全を確保されない場所で、粗末に扱われてきたからです。

このような低い自己イメージを変えていくには、きっと一番良いのは、自分を肯定してくれる存在です。

これは、8番の家族以外の人々のなかで、良い出会いがあって、救われることが一番です。

しかし、それを受け入れるのも難しい人たちも多いでしょう。

そんな時に、非常に役立つのが、自己肯定訓練です。

これは、アファメーションとかセルフトークなどと言います。

これは、よく暗示と解釈する人もいますが、それは逆で、今まで悪い暗示によって振り回されてきた過去を、解放するために、本来の自分を呼び起こすための作業です。

自己肯定訓練には、このようなものがあります。

  1. 声に出さずに心の中で言う。
  2. 声に出して自分に言う。
  3. 声に出して自分以外の人に言う。
  4. ボイスレコーダーに録音して聞く。
  5. 紙に書く。

また、自分を肯定する文章を作る時に、気をつけたいことをあげます。

  1. 文は肯定文にすること。
  2. 文は簡単で短い文章にする。
  3. 文は現在形にすること。
  4. 文は嫌な状況から逃げるための内容でなく、こうなりたい内容にする。
  5. 継続の上に自己肯定感は育つと知る。

例えば、私は自分が好きだ、でも良いです。

このような肯定文を、毎朝鏡の前で10回言う、など、決めてください。

または、ボイスレコーダーに入れて、電車の中で聞くとか、メモにして目につくところに貼っておくのも効果があります。

そして、一番効果があるのは、このルーズリーフに自己肯定文を何度も書くことです。

ただ、このような肯定文を書いていると、今までの癖でそれに対する否定的な気持ちが湧き出てきます。

そのような場合は、否定的な気持ちも受け入れることです。

「仕方ないよね、今までずっと自分の気持ちを否定してきたのだから」と言うようにです。


10.神についての考察

これは、共感できる人とできない人に分かれるかもしれません。

「なぜ、神様は私にこのような試練を与えたのか?」と言う疑問です。

あなたはこんな想いになったことはないでしょうか?

それは、おかしいことではありません。

このような思いが出てきたら、このページに思いの丈を書いてみてください。

神からの答えはないと思いますが、生きる意味が見いだせるかもしれません。


11.統合


今までやってきた家族統合法もこれで終わりです。

ただ、このルーズリーフは、今の時点ではまだ満足のいく仕上がりではないと思います。

ぜひ、何年も書ける気持ちでゆっくりとしっかりと自分に向き合ってください。

いろんな情報とか、解決法などが、情報社会の中で溢れかえってますが、本質はこれだと思います。

よく「売れる書籍」にあるような症状を列挙するだけの内容など、私はあまり意味がないと思ってます。

なぜなら、このような「症状名であおる」ようなやり方は、出版元にお金が集まるためのものであり、苦しんでいる人にはほとんど寄り添ってないからです。

また、症状が本当に良くなれば、このような書籍などの需要もなくなってしまいます。

だから、なおらない情報に踊らされるのではなく、これからは、確実に本質に近いものを選ぶ目を持ってください。


ちなみにこの項では、家族統合法でやってきた全ての感想を書いても良いです。

「親に、もう大人なんだから自立するといった」など、報告的な内容でも良いですし、伝えたいことを代弁する場にしても良いです。

どのくらい成長したかのプロセスを書いても良いと思います。

なんの制限もないので、自由に書いてください。

本来、自分のやることに制限などないのです。

自分に制限があるとするなら、その制限を自分で作った時だけです。




最後に


家族統合法の一連のワークの手法をさらっとお伝えしました。

むしろ、あなたにとってはここからが本番です。

必要ない情報や人間をなるべく遮断し、自分に向き合う時間をたっぷり持ってください。

自分を傷つける存在に、時間を割くのでなく、とりあえずこのルーズリーフに向き合ってください。

このようなテーマは、どう生きるのかと言う根源的なテーマであり、さらに傷ついてきた人間にとっては厳しい段階もあると思います。

ただ、こうして傷ついたと言うことは、あなたの中に、ただ流されるのではなく、「おかしい」と言う気持ちがあるから傷ついたのです。

だって「おかしい」と思わなければ、あなたを傷つけた人と、同じような人格になって、周りの人を平気で傷つけながら、自己満足で生きているはずなのです。

このように傷がありながら、それでも立ち上がっていく人を、サバイバーと言います。

これは日本語では、逆境を生き抜いた人々、と言う意味です。

サバイバーは、幸せいっぱいの人とも違うし、不幸なまま諦めている人とも、当然違います。

サバイバーには、サバイバーにしか見えない世界があります。

それは、特別な景色です。

この「貴重さ」に気がついて欲しいと思ってます。

ぜひ、諦めずにこのプロセスを歩んでください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



家族統合法(前半)




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