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2021年10月26日火曜日

「憎しみ」の感情を克服する方法

 


今回は、動画にはしないと思いますが人間の持つ「憎しみ」について詳しく書いた本があったので読んでみました。

まだ、まとまってないのである箇所を抜粋したいと思います。


それが、「憎しみ」に対する10の戦略というものです。

トランプ前大統領は、このような手法を使って、対立する他国との交渉などを行なっていたように感じます。彼が取り乱したり、憎悪の念があからさまに見えることはほとんどなく、いつも冷静だったように受け止めています。

それだけに少し高度というか、かなりビジネスっぽいので、動画には向かないと思いました。

著者は、憎しみという感情は、「心の核兵器」と呼びました。

だからこそ、この核兵器を爆発させない方法を、考えることが大事だということです。

人によって違うと思いますが、「憎しみ」によって、関係を絶ったり、会社を辞めることもあります。時には殺人事件なども起こしてしまうほどです。

以下は抜粋になります。



戦略とは何か


最近、人間の情動について数多くの科学的な発見があったおかげで、そこから10の戦略を導き出すことができる。これらをまとめて実行すれば、ふくらもうとする憎悪を押さえつけ、すでに燃え出した憎悪を消すことができるだろう。10の戦略とは、明確にする、共感する、伝える、交渉する、教育する、協力する、冷静に見る、追い詰められない、敵のふところに飛び込む、復讐ではなく正義を求める、である。これらはいずれも、高等神経システムによって原始神経システムの暗い力を抑制し、憎悪の悪循環を終わらせることを狙いとしたものだ。
(説明すると、反応に任せるのではなく、自己コントロールによって統制することが大事なようです)

1. 明確にする

怒りや苦しみや脅威の原因を、できるだけはっきりと特定することである。事象別に扱うことのできる理性的な高等神経システムをはたらかせ、扁桃体をふくむ原始神経システムが固定観念によって決めつけるすきを与えない。この戦略は特に子供には重要である。子供がテストで悪い点を取ったら、「どこがわかっていないかいっしょに考えてみよう」と親は言うかもしれない。だが「お前にはがっかりだ」など小言ばかり行ったなら、子供の心のなかで原始神経システムの決めつけがはじまり、憎しみと自己嫌悪がしだいに大きくなっていくだろう。この第一の戦略は、複雑で詳細な分類ができる人間の能力を活用するものだ。実質的に無限の能力は人間の巨大な脳の驚くべき特性であり、これがあるからこそ、人間はもっとも高度で強力な社会的、精神的、科学的な体系にもとづいて文明をきずくことができたのである。

2. 共感する

「われらと、われら」の視点でものを見るには、たとえ同感できない相手にも共感しなくてはならない。共感と同感はちがう。共感とは他者の考え方や感じ方を理解しようとすることで、それを正しいと認めなくてもかまわないのだ。最悪の敵でも、その身になって考えることには意味がある。相手の動機がはっきり理解できれば、和解の機会が生まれる。そうでなくとも、相手を負かしたり先まわりしたりする最善の策を思いつく。相手の立場で考えるかぎり、愚かな敵対はありえないし、相手を怪物か何かのように忌み嫌うこともないだろう。脳の原始的な領域に支配を許さないから、ただの嫌悪が簡単に憎しみに変わったり、敵を人間でない「彼ら」とみなして、冷酷にたたきのめそうとしたりすることはない。(途中略)

3. 伝える

なぜ怒りや脅威を感じるのかを相手に明確に伝えれば、その気持ちを消すことができる。ここでも要点は明確にすることである。憎悪の恐ろしい一面は、怒りを人に伝えようとするときに、漠然とした一般論や固定観念からばかり話すと、ますます怒りが激しくなり、憎しみが募ることだ。これが「ヘイト・スピーチ」と呼ばれるものである。

4. 交渉する

こちらの動機を伝えるだけにとどまらず、可能な場合には、建設的かつ明確な案を提示して交渉し、衝突や怒りの原因を解消しよう。


5. 教育する

知識をたくわえ、それを人に伝えようつのりにつのった憎悪と偏見は、まったく無知から生まれる。個人、集団、文化についてくわしく知っていれば、固定観念から相手を見ることがなくなり、憎悪が避けられる。一般に、厳格で高度な教育は脳に良い作用をもたらす。(途中略)

6. 協力する

可能ならば相互の利益をはかって協力しよう。憎しみにかわって、信頼の絆が生まれるだろう。社会心理学の研究から、共通の目的を達成するために他者と手を結ぶと、原始神経システムの潜在意識のメカニズムがはたらき、「われら」と「彼ら」の分断が消えることがわかっている。他国から攻撃を受けて敵を撃退しようとするとき、国内の分裂が解消することがよくあるのはこのためだ。

7. 冷静に見る

過剰反応してはいけない。たとえば自分の怒りが妥当なものなのか、脅威はほんとうに重大なのかを冷静に分析しよう。これだけのことで、高等神経システムを稼働させ、原始神経システムを統制できる。

8. 追い詰められない

八方ふさがりで逃げ場がない状態に陥らないためには、これまでの7つの戦略をすべて実行する必要があるが、なかでも重要なのは伝えることと交渉することである。たとえば、仕事に満足していなかったら、そのことを建設的なやり方で人に知らせ、できれば改善してほしいと交渉する。手をつくしても状況が変わらなかったら、どこか別のところに機会を求めよう。あるいは頭を切り替えて、現在の不満を人間として成長するための試練ととらえるのもいい。


9. 敵のふところに飛び込む

理由はどうあれ、原始神経システムに支配され、敵意どころか憎悪にとらわれてしまったら、思い切って敵のふところに飛び込んでみる。冷戦の絶頂期に、アメリカの大統領はたびたび東側の指導者たちと膝を交えて対談した。首脳会談が解毒剤となり、プロパガンダに扇動されて東西の対立に油をそそいでいた偏見が解消した。敵と顔をつきあわせてみることでも、潜在意識のメカニズムがはたらきだして、「われら対、彼ら」の壁を壊し、原始的な情動をしずめられる。
環境にさらされるという意味で、この手法は自分だけでなく他者にも応用でき、とくに子供には重要である。どこの社会でも、大人は偏見や憎悪、虐待、暴力のない環境に子供を置いてやる必要がある。ただし影響の受けやすさは、子供によってまちまちである。子供は周囲の偏見や憎悪を吸収しやすい。子供の頃に劣悪な環境にさらされると、その悪影響が生涯にわたってつづきかねない。暴力や虐待などの大きなストレスにさらされた子供は、辺縁系に異常が生じる場合がある。そういう子は、ささいなことでも脅威とみなし、恐怖や怒りや憎しみで過剰反応する。あげくは暴力で対抗しようとする。それとは逆に、脅威にたいする辺縁系の反応が鈍くなる子供もいる。彼らは社会の規範を逸脱して罰せられても、なんとも感じない。(途中略)

10. 復讐ではなく正義を求める

復讐心を抱くと過去にとらわれる。(途中略)敵意をむきだしにして相手をたたきのめそうとするのではなく、公正な解決を目ざして決然と努力しなくてはならない。
ということです。

これを読んでいてトランプ前大統領が、北朝鮮を訪れたことを思い出しました。

相手の懐に飛び込むのは勇気がいりますが、唯一、心を閉ざした人が心が動くのは、彼のように勇気を持って同じ場所に降り立つことかもしれません。

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