今回は、ストア哲学をつかった生き方「ストイック」とも呼ばれるそうですが、この方法をお伝えします。
ストイックというと、あのストイックを想像すると思います。
通常のストイックの意味は、
禁欲的で、厳格に身を持するさま
と辞書に書いてありました。
「ストイックに努力する」とか「あの人はストイックだ」という感じです。
実際は、最初の『S』が大文字か小文字で違う意味らしいのですが、内容はすごくよく似ています。
stoic と Stoic(ストア哲学)
ストア哲学を実践する人を、ストイック、禁欲的に何かに挑戦する人を、ストイック(同じ)とするなら、この違いは、ストア哲学は禁欲的ではないと言うことくらいでしょうか。
つまり、やっぱり似ています。
一言で言うと、理性で感情をコントロールする生き方です。
苦しみを快楽とする。快楽を求めないことを快楽とする、と言うような生き方のことです。
そう聞くと、味気ないように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
どちらかと言うと、人生にとって無駄なものを、排除していきます。
特に、贅沢や名声を追い求める気持ち、他人を気にする態度などを排除していきます。
これを知ると、いかに今までの自分が、麻薬とかお酒などによったような状態で、思考していたかがわかると思います。
そして、「お金持ちはお金を無駄遣いしない」と昔から言われている意味も、わかると思います。
ストイックの約束
これを実践する時は、ぜひこのことを守ってください。
それは、ひっそりと始めること、です。
当然ですが周りの人に「ストイックでは・・」などと言ったら、笑われます。
多くの人は、ストア哲学など知りませんし、そのような生き方を好みません。
また、周りの人は、あなたが変わることを大変恐れます。
このように、いろんな邪魔をされるので、とにかくバレないようにひっそりとはじめてください。
不足を知れば現状に満足できる
このストイックの最終目標は、これです。
生きている間に、楽しみを最大限に味わう!
ただ、私たちが想像する「楽しみ」とストイックの「楽しみ」はかなり違うと思います。
どちらかと言うと、「足ることを知る」もしくは「不足を知る」ことで、現状に満足すると言う感じです。
私たちの多くは、「あれさえ手に入れば」とか「こんな人と出会えば」「こんな仕事につけたら」などと、ないものばかりを得ようとします。
このように、多くの人が 富と名声を求めて途方もない努力をします。
そのストレスを解消するために、お金を使っています。
そして多くの場合、富と名声を求める夢は、挫折をします。
なぜなら、その夢には終わりがないからです。
考えてみたら、この欲望こそが、今のあなたを苦しめていないでしょうか?
これを「飽くなき欲望」と言います。
これこそが、生きる上での厄介者だったのです。
あなたが「人生間違った」と思っているなら、理由はこれではないでしょうか。
米国では、多くの人がクレジットカードを使って買い物をすると聞きます。
これは、未来の収入をあてにしているので、短期間の借金とも言えます。
また、日本人は現金主義ですが、給料のほとんどを使って、次の給料日を待つ人も多いです。
このような生活をしていても、何か不満があったり、満足感がないのは、「飽くなき欲望」は、いつまでもなくならないからです。
例えば「宝くじで一発当てたい」と願う気持ちで考えてみます。
もし、何千万とか何億などが手に入ると、当然ですが私たちは喜びます。
でも、きっと歓喜は一瞬です。
このような喜びって、すぐに慣れてしまうことを、あなたは何かで体験したことはないでしょうか?
例えば、すごく付き合いたい人と付き合ったら、すぐに冷めた。とか。
子供と一緒に暮らせば、夢のような生活だと思ったのに、すぐに悲惨な罵り合いになった。などです。
このように、宝くじでお金持ちになったとしても、その喜びはすぐに当たり前になります。
今までスーパーの肉で喜んでいたのに、高級レストランで食べないと価値がないと思うようになり、だんだんとそれにも飽きてきます。
そして、次はもっと良いお店に行きたい、それにはもっとお金がいる、となります。
このような「飽くなき欲望」を、快楽適応と呼びます。
つまり、人間は快楽にすぐに適応してしまうことです。
このような思考を、満足の踏み車仮説と言います。
これは、いくら走っても先には進まない踏み車のように、一度その状態になれると、さらに満足を求めるようになることです。
私たちが、悩みを持ったり、その悩みが解決できないのは、このような満足とか快楽を、強く求めているからかもしれません。
つまり、自分で作った目標が叶わないと、がっかりして挫折を味わうという、まるでハムスターの回る器具のようなことを、一人で何度もやっているような状態です。
ネガティブ・ビジュアリゼーション
あなたもこのような、富と名声を目標設定にしていませんか?
このような間違った目標を持って苦しんでいる方に、今回は、ストア哲学のネガティブ・ビジュアリゼーションという思考法をお伝えします。
これは、今、あなたが持っている「住まい」「パートナー」「家族」「車などのもの」を、失ったと想像してみることです。
どんな気持ちがするでしょうか?
住まいを失った・・
子供がいなくなった・・
パートナーが突然死んでしまった・・
などなど
これを、1日に何度かやってみるだけで、今持っているものに対する気持ちが、変わってくると思います。
これが、ネガティブ・ビジュアリゼーションで、ストイックの代表的な思考法です。
心の平静を得るには
ストア哲学、ストイックでは、実践することで3つのことが手に入るそうです。
- 心の平静
- 自由
- 冷静さ
です。
心の平静さは、悩みとは相反する意味で、感情的にゆり動かされないような、しなやかでたくましい心を育てていくことが目的です。
この、心の平静と、自由、冷静さが、ストイックの大きな柱です。
このような3つのものは、決して外部(他人、環境)から得られるものではないという考えです。
つまり、心理学的に言えば、他人への依存を捨てるのは大事です。
依存とは、誰かに頼ろうとする、聞こうとする、保護してもらおうとする気持ちです。
これによって、自分から自分を縛り付ける罠を、巻きつけているのかもしれません。
エピクテトスは、このように言います。
幸福と、存在しないものへの憧れは、決して一緒にならない。
ということです。
これは、難しい言いまわしですが、このような意味だと思います。
自分からあまりにもかけ離れた夢などを持つことは、決して幸福とは言えない、むしろ不幸だ、ということです。
例えば、老年になって歌手になりたいという夢を持つ人がいるなら、その夢を叶える可能性は、すごく確率的には小さくなります。
このように達成できない欲望を(わざわざ自分で)作りあげて挫折するのは、なるべく避けた方が良いということです。
なぜなら、自分が傷つくからです。さらに自信をなくすからです。
このような場合は、歌手になる努力をするよりも、自分で作り上げてしまった「(大きすぎる)欲望」を消滅させる努力をする方が、結果的に幸せになります。
そのためには、冷静に自分に向き合うことが大事です。
「なぜ、私は歌手になりたいと思ったのか?」
「具体的な方法はあるのか?」
「可能性はどのくらいなのか?」
このように、現実と夢を照らし合わせるだけで、夢は夢、現実は現実と区別できます。
結構、悩んでいる人は、このような少し行き過ぎた空想・夢想を描く人が多いです。
それはきっと「現実逃避」の一つなのでしょうが、自分では気づかない場合も多いです。
そしてこの空想・夢想に気づくことで、「無理めな夢を追う」と言う目標を断念すれば、望むことが叶うのかという「不安」はなくなり、望むことが不可能になった場合の「挫折」も回避できるからです。
これは、現実からの逃げではないと思います。
むしろ、現実へ一歩近づいたと言えると思います。
つまり、最初の目標設定が間違っているかもしれない、ということです。
「自分への理想化が、高すぎたのかもしれない」と気づくことも大事です。
もちろん、この夢が叶う人もいるので、ここは自己判断でお願いします。
よく「ハードルを高くする」とか言いますが、まさに人生の肝心な場面で、いかにこのハードルを適切に設定できるかは、それぞれの理性と判断力にかかると思います。
そのためには、自分を知ること、しっかりと、観察をしておくことです。
では、どうやったらこのような判断が、自分でできるようになるでしょうか。
コントロールを3分化する
先ほどの歌手になりたいと望む人の夢が、果たして叶うのかを例にして、何を手放したら良いのか、などを考えていきたいと思います。
まず、自分がコントロールできることと、できないことを分けてみます。
- 自分がコントロールできること
- 自分がコントロールできないこと
- ある程度自分でコントロールできること
これを一つづつ考えていきたいと思います。
1.自分がコントロールできること
これは、自分の感情とか意識などです。
2.自分がコントロールできないこと
3.ある程度自分でコントロールできること
- 貪欲さ
- 自分の力の及ばないことでくよくよ悩むこと
積極的不快プログラム
金持ちになろうと一生懸命になるかわりに、「今持っているものに満足するよう」に自分を訓練したら、もっと良いだろう名声を得るかわりに、「他者の賞賛を求める欲望を克服」したらもっと良いだろう妬ましく思う相手をやり込める計画を練る時間があったら、自分の中の「羨望の欲求を克服」したらもっと良いだろう