前回は、ストア哲学、ストイックとはについてと、代表的な思考法であるネガティブ・ビジュアリゼーション、積極的不快などについて、お伝えしました。
今回は後半で、主に人間関係の話をします。
人との関係がうまくいかない方へ、またトラブルが多く起こって、自分の気持ちが落ち着かない方などに、読んでいただきたいと思います。
苦手な人への対処法
ストイックは、周りの人から影響を受けるなと言いつつも、人間は社会的動物だから人と協力するように勧めます。
さぁ、この矛盾をどう解決するのか?
マルクスは、人に対する不信感が非常に強かったのですが、仲間との関係には背を向けずにいたそうです。
なぜこのようなことができたかというと、動機付けの違いです。
私たちが仲間と協力するのは、罰せられることへの恐怖からくるものだと思います。
四面楚歌とか村八分、批判を受けたくないと言う恐れの気持ちです。
それに対してマルクスの動機付けは、報酬への期待からくるものだと解釈しました。
この報酬は、お金ではないです。もちろん、名声でもありません。
これは、「良き生」つまり、「納得のいく人生を送った」と自分が思うためにです。
ただ、悪徳な人などは、ウィルスのようにあなたの感情に悪い影響を持ってきます。
このような感染を防ぐためにはどうしたら良いでしょうか?
他人と接する前に、自分が守ろうとする「性格と型」を形成しておく、ということです。
これは、「ここだけは譲れない」というようなところをはっきりしておくことです。
もっともしてはいけないこと
それは、苦手な人を嫌うことです。
理由は、嫌悪という感情は有害だからです。
「その人のことを思っただけで、気分が悪くなった」と言う経験はあると思います。
コメントなどでも、恨みの感情を出す人は多いですが、とても強くしつこい感情です。
ストア哲学では、そんな嫌いな人のために、自分が感情的な被害を受けないように、嫌わないということです。
そして、最後の復讐はこれです。
相手と同じようにはならないこと!
です。
嫌な態度をしたり、意地悪をするような人と、同等のレベルにならないことです。
同じ土俵で戦う意味もない、ということです。
それでも不快だと感じたら?
それでも義務とか必要性があって、一緒にいないといけない場合もあります。
そんな時は、どうしたら良いでしょうか。
1.自分のことも不快に思う人がいると考える(視点をズラす)
2.相手のことについて深く考えない(時間の無駄)
3.嫌な人間が存在するのは、当たり前だと思う(一般化)
となります。
それでもイライラしたら?
人生は一瞬だ!と考える(そんな人に時間を使うのは勿体無い)
いかがでしょうか。
他者からの侮辱にどう対処するか?
侮辱とは、どう言う意味でしょうか。
ばかにして、はずかしめること。
と言うことです。
優しそうな顔をして、親しげに近づいてきたのに、突如恐ろしい言葉を吐いて、あなたを傷つけるような人に出会ってしまった。
また、突然、朝来たらメンバーが無視をして驚いた、などです。
誰でも経験があるのではないでしょうか。
これは、事故のようなものですが、このような出来事で自分が傷つくことは、避けたいものです。
このような場合、ストア哲学ではどう考えるのでしょうか?
ここで、侮辱を受けた時に、考えたいことを4つあげます。
- 立ち止まり、本当かどうかを確認する
- 相手は、自分のことをどれほど知っているのかを考える
- 相手によって受け止めかたを変える
- 侮辱と受け取ったのは自分だと気づくこと
また、哲学っぽい内容もありますが、一つづつ見ていきます。
1.立ち止まり、本当かどうかを確認する
例えば、ハゲと言われて実際にハゲているなら「それは事実」と言えます。でも、言われた方が間違いなのではなく、事実は事実という捉え方です。
2.相手は、自分のことをどれほど知っているのかを考える
人の中には、ただ自分が優位性を出したいから、人を蹴落とすようなことを言っているだけの人も多くいます。
その侮辱の内容があっているのか、本人の問題なのかを調べる必要があります。
3.相手によって受け止めかたを変える
相手があなたにとって、尊敬している人なら、もしかすると侮辱ではなく、「良いアドバイス」なのかも知れません。逆に、尊敬してない人なら、あなたの見立ては当たっていた、ということになります。つまり、「自分の人を見る目は間違っていなかった」と喜ぶべきです。世の中には、傲慢なだけの人間を親友だと思い違いをしている人が、たくさんいます。
4.侮辱と受け取ったのは自分だと気づくこと
これも難しいですが、一番のハゲは事実、という例のように、事実を言われて侮辱だと受け取ったのは「自分」であり、その結果怒りを生んだのも「自分」だということに、気づけば感情がゆさぶられることもないと思います。
いかがでしょうか。
次は、この侮辱に対して、具体的にどのように対処するかを考えたいと思います。
侮辱にどう対応するか?
まさに、上のイラストのようにならないように、侮辱に対処しないといけません。
このような取っ組み合いの喧嘩などは、相手にもよりますが、「お互い様」になってしまいます。
それは、さっきも言ったように、侮辱をする人と同等レベルになったということを意味します。
では、ストア哲学ではどのように対処していくのでしょうか。
- ユーモアで答える
- 反応しない
- 教えてあげる
この3つになります。
詳しく説明します。
1.ユーモアで答える
これは海外の哲学なので、このようなユーモアで答えるという内容は、日本人には難しいかも知れませんが、意図を理解すると納得できます。このユーモアは、相手の侮辱を真正面から受け取ってないということを、意味します。例えば、「あなたが言う以上に、私は欠点だらけだ」と言う感じの自虐も含めてです。こう答えられると言う設定が、相手にはないので、驚くと思います。その間に、その場を去るようにします。
2.反応しない
聞こえていないかのようなそぶりをしたり、聞こえていたことがわかっても「くだらない人間の相手をする暇はない」と言う意味合いがあります。
3.教えてあげる
相手がまだ成長段階であるなら、そのような言葉や態度は失礼だと教えてあげるのも一つです。
褒められた場合は?
では、逆に、褒められたらどうしたら良いのでしょうか?
同じく、「反応しないか相手にしないこと」が大事です。
あなたは、誰かから褒められることを、人生の目標にしていませんか?
それは、とても危険なことです。
なぜなら、褒められるためには、その人の価値観を自分の中に取り入れなくてはならないからです。
これは、例えば、親などから褒められるために、努力をしている人がいたとします。
その人は、自然に親の望む姿・・つまり親の価値観を自分に取り入れて、それを達成しようとしているのです。
このような人は、親などの「飽くなき欲望(前半をご覧ください)」に、振り回されることになります。
ストア哲学、ストイックになるには、まず、このような「褒められたい欲」を投げ捨てることをお勧めします。
また、このような場合、褒められても反応しないと言う方法の他に、もう一つ方法があります。
それは、わざとその人から軽蔑されることをする、です。
これは、反抗期なども似てますが、前半で言ったように人間の飽くなき欲望は、非常に強く、しつこいので、最初にバーンと大げさに裏切りを見せることで、相手の都合の良い空想や夢想、期待などをバサッと裏切ってしまうと言う方法です。
いかがでしょうか。
終わりに・・・
私たちは、人生の喜びを少しでも感じようとします。
そして、その喜びには、「変化」が必要であると思います。
この変化は、環境や人間関係を変えることで、きっと変化が訪れ喜びも・・となります。
こうして転職や付き合ったり別れたりを繰り返して、疲れ果てた人も多いと思います。
ストア哲学では、そうではなくて、前半で言ったようなネガティブ・ビジュアリゼーションなどによって、既に持っているものを喜ぶと言う方法です。
だから、何も付け足さなくても良いし、変化も必要がないのです。
また、私たちの不安の多くは、今あるものを失うことによる「予期不安」です。
これは、将来への不安なども同じです。
付き合っている人が離れる不安、ペットが死んでしまう不安などもそうです。
でも、別れはいつかは訪れます。
それを、予期しておくことと、実際に少しづつ体験していくことが、この哲学の面白くて、役に立つところだと思います。
そのためには、3つのことを覚えておいてください。
- 自分の性格を楽しむ
- 失う準備をしておく
- 悪い意味で「通(極上主義)」にならない
これを簡単に説明すると・・・
1.自分の性格を楽しむ
自分は(とりあえず死ぬまでは)失うことはないからです。しかも、自分の性格や思考は、自分でコントロール(前半をご覧ください)できるものです。
2.失う準備をしておく
ネガティブ・ビジュアリゼーションや積極的不快プログラムを使います(前半をご覧ください)。
3.悪い意味で「通(極上主義)」にならない
前にテレビでやってましたが、お金持ちでも、10万円のワインや1000円のワインを、見分けることすらできないのです。でも、「通」ぶっていると、悪い人が寄ってきて、このワナにはまって湯水のようにお金を使うことになります。もし、このような見栄っ張りの生活習慣があるなら、この機会に考え直してみてください。きっとわかった人は、そのような人を冷めた目で見ているはずです。
いかがでしょうか。
なんか、世の中を見る目が、少し変わったと思いませんか?
ぜひ、あなたの生活に、ストア哲学、ストイックな生き方を取り入れてください。