突然ですが、あなたの部屋はゴミがいっぱいですか?
こんな質問は失礼ですが、何かのきっかけで生活スタイルが大きく変化することを経験したことはないでしょうか。
今回は、何かのきっかけ、もしくは以前からの生活習慣を直せずに、行き着くとこまでに来てしまった人などに聞いて欲しいと思います。
セルフネグレクトとは
セルフネグレクトという言葉を知らなくても、ネグレクトという言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ネグレクトとは、放任することです。
「子供の世話をしない」とか、「子供が危険な状態でも気づかない」などです。
つまり、積極的に虐待などはしなくても放置されているという意味で、消極的な虐待でもあります。
それを、セルフでおこなうというのが、セルフネグレクトです。
つまり、自己放任です。
マリア・P・パブロウによると、セルフネグレクトについて、このような定義を掲げてます。
1.個人のあるいは環境の衛生を、「継続的」に怠る。
2.生活の質を高めるために当然必要とされるいくつかのあるいは全てのサービスを、「繰り返し拒否」する。
3.明らかに危険な行為により自身が危険にさらされている。
ということです。
一般の人との区別としては、1番なら「継続的に怠る」というところです。
普通なら、いくらゴミが散乱してもいつかは掃除をして綺麗にすることもあるでしょう。
でも、それがなくずっと汚い状態を維持している点です。
また、2番も同じですが、「繰り返し拒否する」ことです。
このように受けられるサービスを、わざわざ繰り返し拒否する時点で「おかしい」なるのです。
また、このようなセルフネグレクトになりやすい人として、認知症とかアルコール問題などもありますが、不安障害とか、強迫神経症など、精神疾患などによって、それが生活にまで、悪い影響を及ぼすことも多いということです。
確かに、自分でうまくやれないのに支援の手を拒み続けてしまうなら、解決の道が途絶えてしまうかもしれません。
ただ、悪い環境の中で必死に踏ん張っていきている人も、セルフネグレクトだと誤解されることも、今の世の中ではありそうです。
この辺の違いを、どう理解したら良いでしょうか?
セルフネグレクトの種類、として、このようなものをあげてます。
参考書籍です👉
1.認知・判断能力の低下
2.ライフイベント型
3.プライド維持型
4.ひきこもり移行型
5.遠慮・気兼ね型
6.貧困・経済不安型
7.医療・サービス拒否型
8.住民苦情・トラブル型
9.怒り不満型
10.虐待移行型 など。
一つづつ見ていくと、
1.認知・判断能力の低下
年齢的なものや精神疾患などによって、思考する力が衰えていきます。
それで、「何を捨てたらよいか?」などもわかりにくくなってきます。
2.ライフイベント型
よくあるのが、妻の死亡などによって「信じる人がもういない、頼ることもできない」となる場合です。
ペットロスなども、最近では多いかもしれません。
3.プライド維持型
昔のライフスタイルから変えることができない場合です。
例えば、昔、贅沢をしていた人が、今の収入に合わせた質素な生活ができずに、見栄を張って買い物などをしてしまうなどです。
結果的に、生活ができなくなっていく・・というような感じです。
4.ひきこもり移行型
若い頃はひきこもりで、親などが他界するとそのままセルフネグレクトに移行する場合です。
5.遠慮・気兼ね型
迷惑はかけたくないけど、どうしてもできない場合などです。
ちょっと、飛ばしますが・・・
9.怒り不満型
自分の中にある怒りを、国とか役所などに向ける場合です。
これは、もともと怒りを持っている人に多く、身近な人へ向けられないので国などに向ける場合などがあります。
10.虐待移行型
幼少期に家族などから、虐待を受けていた場合です。
これはその経験から、「自分には価値がない」という無力感があります。
しかし、「自殺をしたら周囲に迷惑がかかる」という思いがあり、そのままセルフネグレクトになるという場合です。
セルフネグレクトから抜け出すには
セルフネグレクトから抜け出す方法としては、大きく分けて二つあると思います。
一つは、行政などに助けを求める方法、です。
これは、抜け出すというより、セルフネグレクトから支援をしてもらう人になるという意味です。
しかし、あくまでも一時的な救済でありいつかは、自立する必要があります。
支援を求めるなら、役所などを訪問して助けを求めることで道がひらけます。
もう一つは、
セルフネグレクトの原因となっている、自分の中の感情を処理していくことです。
これは、状況や体調などにもよりますが、自分で判断をして決めるしかないでしょう。
また、二つ目の、自分の中の感情を処理するには、どうしたらよいでしょうか。
セルフネグレクトのように、「もう何も考えたくない」という状態は、普通の人でも決して珍しくないと思います。
では、なぜ、もう何も考えたくないと思うのでしょうか?
きっとですが、問題が山盛りだからだと思います。
このような場合、この問題を区分けしていくことで、「もう何も考えたくない」から、「これなら考えられる」となっていくと思います。
これは、アドラーの課題の分離と言います。
悩みを溜め込んでしまう人は、ものを収納することで考えたら一つのラックに全てを入れてしまう人です。
だから、そこのほうにある悩みは、取り出すのが面倒になってどんどん溜まっていくということです。
では、このようなたまりまくった悩みを、どうやって区分けしていけばよいでしょうか。
これは、なるべく儀式化していくとよいです。
「形からはいる」というやつです。
そうして、自分でもモチベーションを上げていくのです。
例えば、付箋などに悩みを一つづつ書きます。
テーブルにいっぱいになるまで、また、それでも足りないなら、壁に貼ってもよいでしょう。
そして、すべて書き終えたら一つの付箋を選んでください。
その付箋と同じ悩み、または、似た悩みを重ねていってください。
こうした付箋の束を、何個か作っていってください。
こうすると、悩みが分離できます。
では、何から手をつけたらよいでしょうか?
一番に手をつけるのはより現実的な悩みです。
近いうちになんとかする必要があることです。
例えば、今月の支払いについてなどです。
逆に、老後の心配とか過去のトラウマなどは、今月の支払いよりは現実的ではないので、まだ選びません。
そして、その支払いをどうやっていくのかだけを考えて行動したり支援を求めたりします。
それが解決できたら、その付箋は捨てます。
いかがでしょうか?
また、現実的な悩みが解決できると、遠い未来とか過去などの悩みが、減っていくことも実感できると思います。
このように、私たちの悩みは、実は現実的なものが大きく、それに手をつけない理由として、過去や未来の悩みを肥大化してしまう癖があるようです。
これは、人間の習性なので仕方がありません。
ただ、どこかでその習性に気づいて、現実的な問題に手をつけなければ、セルフネグレクトのように「何もできない」という状態に陥る可能性が大いにあります。
このように、「誰かに頼れ」といわれても、すべてを頼ることは実際には難しいです。
それこそ、自由までもがなくなる可能性があります。
でも、このように課題を区別することで、自分で「どこを頼るか」「どこまでを自分でやるか」などがわかると、自分で采配している感覚が生まれます。
これがあれば、誰かや何かに頼ることも怖くはないと思います。
まとめ
セルフネグレクトとは
いろんな事情によって思考力が低下して、自分のことを自分でやるということできなくなっている状態です。
その理由としては、年齢や精神疾患などもありますが、私は、生育歴などの問題が、未解決のまま怒りや人への不信感から感情が固まり、生活が難しくなっても、適切な思考、行動が取れなくなっている状態だと考えます。
セルフネグレクトから抜け出すには
これは、状況にもよります。
もし、どうしても思考が働かないなら、なるべく自分を理解してくれそうな人や環境に頼ることが大事です。
また、自分で思考や行動ができる場合は、アドラーの課題の分離をおこない、自分がこれからすることを分離してより現実的な問題を選択してください。
この癖ができると、未解決の課題が山盛りになることも減ると思います。
いかがでしょうか。
自立と自由
以前に、ある過疎の村で元気のない老人に、役場の人が何を勧めたかというとそれは、ビジネスでした。
結構有名になった話なので、覚えている人もいるかもしれません。
山では腐る程ある「葉っぱ」などを採取して、それを都会に出荷することで、飲食店などが高額でその葉っぱを買い取るというものでした。
役場の人は、そのシステム作りをしただけで、あとは自営業と同じで何千万も収入を上げたお年寄りもいました。
その老人たちは、自分の取ってきた葉っぱが、お金になりまた誰かの役に立っていることに喜び、どんどん生き生きとしてきました。
このように、ただ支援を受けたり給付をもらうのは簡単でも、その先には「何もできないという自分」が強化される不安があります。
これは、自己コントロール感を失うという恐れです。
これは、支配者が弱者を支配するときに使う手段なのです。
もし、この先も自分の力で生きていきたいかたは、安易な道を選ぶという誘惑に負けないで欲しいとも思います。
以上で、セルフネグレクトから抜け出す方法、を終わります。
ありがとうございました。